英語のすゝめ。~飽きずに、深く、楽しく。

英語を読むだけで気持ちが満たされるamuです。 英文読解の楽しさは『発見』にあります。「こう表現したい時は英語でこう表現したらいいのか!」「この英単語にこんな使い方があったのか!」「そもそもこんな英語表現があるのか!」本ブログはそんな『発見』を紹介していきます。 私の記事で楽しい英文読解ができれば幸いです。

賛同を表す“You bet.” / writer’s block という表現 / come to think of it 「よくよく考えたら〜」

よく使う口語表現の一つであるWho knows。文語表現としての意味を知っていますか?

ライター特有の悩みである「行き詰まり」。英語でどう表現するか知っていますか?

 

詳しくは下の目次から!

 

0.今回の英語資料:朝日新聞2018年10月5日号掲載の天声人語

前回同様、今回も英訳版天声人語からの抜粋です。2018年10月5日号の朝日新聞に掲載されたもので、内容は築地市場の閉鎖と移転。

筆者は今までの築地市場に想いを馳せつつ、移転先の豊洲で「魚河岸」が復活することを期待しています。

 

今回もチラホラ興味深い英語表現が出てきます。

1-1.「もちろんです。」を表す"You bet."

冒頭、筆者は昨日(10月4日)の朝の出来事を回想しています。

“Hope to see you there.” “You bet.”

I heard this exchange while strolling through Tokyo’s iconic Tsukiji fish market yesterday morning, ~

【「また、あちらでね」「あっちでも、よろしく」。きのうの朝、東京の築地市場を歩くと、そんな言葉が耳に入ってきた。】

 

Hope to see you there.は直訳すると「あちらで会えればなと思います」。原文の「また、あちらでね」とぴったり対応していますね。

 

注目すべきはそれに対する相手の反応です。原文では「あっちでも、よろしく」、英訳ではYou bet.

You bet.で表現できることは強い賛同の意です。訳すならば、「もちろん」「間違いなく」「その通り」。

 

You bet.は"You can bet money on that." [あなたはそれにお金を賭けてもいい]の略。それだけの絶対的な自信を込めて相手に賛同することを表現した言い回しなのです。

よって今回のYou bet.は、相手の「あちらで会えればなと思います」に対して「あちらでも絶対に会えます!」と答えている表現となります。原文の「あっちでも、よろしく」の意味合いもしっかり含まれていますね。

 

また、You bet.は(特にアメリカで)「どういたしまして」の意味で使われることもあります。Thank you.と言われてYou bet.と答えても何の問題もありません。

1-2.「短い言葉のやり取り」を表す"Exchange"

「そんな言葉」に対応する英訳は this exchange。

exchangeの基本的な意味は「交換」ですが、転じて「(言葉の)やり取り」という意味にもなります。

ただ、コリンズ英語辞典の解説に書いてあるように、あくまで「短い言葉のやり取り」を表す言葉なので、挨拶を交わし合う程の会話を想定しておきましょう。

ちなみに、会話を交わしているのは、築地市場の「お得意さん」。regular shoppersと訳されています。日々定期的に買い物を続けるお客さんなので、regularが使われているのです。

2.「行き詰まり」を表す"Writer's block"

筆者にとって築地市場は身近にある存在でした。

The Asahi Shimbun’s Tokyo head office overlooks the market. Whenever I gaze out the window to shake off writer’s block, it is always there, right next door.

【築地にある小社は、いわばお隣さんだ。原稿に詰まって窓を眺めると、いつも目に入るのが築地市場である。】

 

原文と英訳文では描写が異なります。英訳文を直訳してみましょう。

朝日新聞の東京本社オフィスは市場を見渡せる位置にある。(だから、)行き詰まりを振り払うために窓の外に目をやれば、ちょうど隣にある市場が必ず視界に入る』

ここで注目する英語表現は writer's block 。意味は「執筆中の行き詰まり」「着想の行き詰まり」とも言う)で、ライター特有のスランプを表した言い回し。

I have writer's block. と言えば、書きものをしていて良いアイディアが纏まらないことを簡潔に表すことができます。

また、writer's block は創作力の欠如で起こるものなので、治った時は I reawakened my creativity! と表現すればいいでしょう。

3.「よくよく考えたら~」を表す"Come to think of it"

市場が移っても「場外市場」は残る。それを知った筆者は驚きつつも、こう思い直す。

But come to think of it, this is how communities often perpetuate themselves.

【考えてみればまちとは、そんなふうに続いていくのだろう。】

 

注目する表現は come to think of it 。意味は「よくよく考えてみれば~」。省かれているが、本来は頭に when が来る表現。  

この場合の come to は「~するようになる」で、when を含めて厳密に訳すと「それについて考えるようになると~」(「それ」の it は”状況”など形をもたないものを指す代名詞)。

come の原義に沿って「立ち返って考えてみると」と訳して覚えれば、頭に残りやすいかもしれません。

4-1.「同じ理由で」を表す"By the same token"

東京・神田は東京大学一橋大学などの前身があったからこそ、現在「本の町」として発展した。故に、筆者は同じ理由で築地が今後「魚の町」として発展することを期待しています。

By the same token, who knows, Tsukiji may evolve further into a “fish town.”

【築地も魚のまちとして、さらに発展するかもしれぬ。】

 

by the same token の意味は「同じ理由で」。token は「象徴」「しるし」という意味で有名ですが、「証拠」という意味もあります。その意味を用いた表現が by the same token なのです。

4-2.文語表現としての"Who knows"

そして最後に注目する表現は who knows 。誰かの問いかけに対して「さあな」「知らないよ」と答える口語表現・・・なのですが、今回のように文語表現にもなります。

 

では、どう翻訳すべきでしょう。Wiktionaryの解説にヒントがあります。

A rhetorical question asked to express the idea that anything is possible or that anything could happen.

 

つまり、Who knows は「どんなことも起こり得る」という意味の修辞疑問文。言い換えると、世の中何が起こるか分からないことを示す言い回しなのです。

参考までにWiktionaryの例文を見てみましょう。

Since she hasn't studied at all I don't think she'll pass the test, but who knows?

【彼女は今まで全く勉強してこなかったから、試験に通るとは思わない。でも実際どうなるか分からないよね。(もしかしたら合格するかもしれない)】

 

以上の特徴から考えるに、文語としての Who knows は「ひょっとしたら」と訳すべきでしょう。あるいは、口語表現としての意味も取り入れて「誰にも分からないが、もしかしたら~」と訳すのもアリです。

まとめ

★You bet. [もちろん] [どうもいたしまして]
☆regular shopper [お得意さん]

★writer’s block [執筆中の行き詰まり]

☆I reawakened my creativity! [「行き詰まりが治った!」]

★come to think of it, [よくよく立ち返って考えたら、]

★by the same token [同じ理由で]

★who knows [ひょっとしたら] (※文語表現としての意味)